就労継続支援A型で労災は使える?仕事中・通勤中のケガの手続き

A型事業所で働くときに、仕事中や通勤中にケガをしたら補償はどうなるのかと気になる方もいるかもしれません。
この記事では、藤沢市のA型事業所「ほまれの家 長後店」が、労災保険の仕組みと、受診から請求までの流れ、迷ったときの相談先を、厚生労働省の資料をもとに整理しました。
労災保険は、仕事中や通勤中のケガに備える国の保険です。
雇用契約を結んで働く就労継続支援A型には、働く人を守る制度が関わります。
あらかじめ流れを知っておけば、落ち着いて備えることができます。
A型事業所でも労災保険は使える?
就労継続支援A型で事業所と雇用契約を結んで働く場合は、労働者として労災保険(労働者災害補償保険)の対象になります。
仕事中や通勤中のケガに対して、治療を受けられる給付や、働けない間の休業給付などが用意されている仕組みです。
ただし、個別のケガが対象になるかどうかは、事情を踏まえて労働基準監督署(労災保険の請求を受け付ける国の機関)が判断します。
労災保険の対象になる理由
就労継続支援A型は、原則として事業所と雇用契約を結んで働くサービスです。
厚生労働省の通知では、雇用契約を結んで働くA型の利用者は、労働基準法上の労働者にあたると示されています。
また、労災保険は、労働基準法上の労働者を対象としています。
パートやアルバイトなどの働き方にかかわらず、事業主との間に雇用関係があり賃金を得ていれば、仕事中や通勤中のケガなどで給付を受けることができます。
この考え方は、A型事業所(A型作業所と呼ばれることもあります)で働く方にも同じように当てはまります。
A型で適用される法律の全体像は、A型の雇用契約と適用される法律で解説しています。
出典: 厚生労働省「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」、「労災保険に関するQ&A」1-3、「労災補償」(2026年10月時点)
仕事中・通勤中のケガは労災になる?
仕事中のケガは業務災害、通勤中のケガは通勤災害として、どちらも労災保険の対象になります。
作業中や事業所外の業務でのケガ、出勤や帰宅の途中でのケガが、これにあたります。
私用の行為が原因のときなどは、対象にならない場合があります。

仕事中のケガは業務災害
業務災害とは、仕事が原因で生じたケガのことです。
所定の勤務時間中に、事業所の中で業務に従事しているときのケガは、特段の事情がない限り、業務災害と認められます。
休憩時間や就業の前後は、実際に業務をしていないため、私的な行為が原因のケガは対象になりません。
ただし、事業所の施設や設備の管理状況が原因のケガは対象になります。
仕事で事業所の外に出ているときも、積極的な私的行為がなければ、一般に業務災害と認められます。
一方で、業務と関係のない私的な行為が原因のときや、故意に起こしたケガは認められません。
ケガだけでなく、業務が原因で生じた病気も対象になる場合があり、判断が必要なときは労働基準監督署に相談できます。
出典: 厚生労働省「労災保険給付の概要」(2026年10月時点)
通勤中のケガは通勤災害
通勤とは、就業のために、自宅と事業所の間を、合理的な経路と方法で往復することをいいます。
電車やバス、自動車、自転車、徒歩など、一般に使われる方法は、普段使っているかどうかにかかわらず、合理的な方法とされています。
ただし、通勤の途中で映画館に立ち寄るなどの私用の寄り道をすると、その間もその後も対象外です。
日用品の購入や通院などを、やむを得ない事由により最小限度の範囲で行った場合は、それらを行っている間を除き、経路に戻れば再び通勤になります。
どちらの場合も、経路をそれている間は対象にならない点を押さえておくと安心です。

通勤の途中の交通事故など、相手がいる事故(第三者行為災害)では、労災保険の請求とあわせて「第三者行為災害届」などを提出します。
出典: 厚生労働省「労災保険給付の概要」、e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」第7条(2026年10月時点)
ケガをしてから請求までの流れ
ケガをしたときは、次の順で進みます。
受診から請求までの4ステップ
ここでは、労災保険指定医療機関を「指定医療機関」、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署を「労基署」と略して書きます。
事業所に連絡する
↓
指定医療機関で受診する
↓
請求書を提出する
↓
労基署が支給を決定する

最初に、いつ、どこで、どのようにケガをしたのかを、事業所へ伝えます。
労災保険の指定を受けた指定医療機関では、原則として無料で治療を受けられます。
指定医療機関は、厚生労働省の労災保険指定医療機関検索で、医療機関の名称や所在地から探すことができます。
近くに指定医療機関がなく、ほかの医療機関で受診したときは、いったん費用を自分で支払い、あとから労災保険に請求します。
請求書は、受診した指定医療機関を経由して、事業所の所在地を管轄する労基署に提出します。
請求書には事業主の証明欄があり、事業所に記入してもらいます。
請求書の様式は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)から入手できます。
請求には時効(請求できる期間の期限)があるため、早めに手続きを進めると安心です。
ケガをした日時や場所、状況をメモしておくと、請求のときに説明しやすくなります。
出典: 厚生労働省「労災保険給付の概要」、「療養(補償)等給付の請求手続」、「労災保険指定医療機関検索」(2026年10月時点)
ケガの治療に健康保険は使えない
仕事中や通勤中のケガは労災保険の対象になるため、治療に健康保険は使えません。
健康保険法でも、同じケガについて労災保険から給付を受けられる場合は、健康保険の給付は行わないと定められています。
ケガの原因が仕事中・通勤中なら労災保険、仕事以外なら健康保険を使います。
健康保険証で受診してしまったときの対応は、このあとの「よくある質問」で説明しています。

出典: 厚生労働省リーフレット「お仕事でのケガ等には、労災保険!」、e-Gov法令検索「健康保険法」第55条(2026年10月時点)
労災保険で受けられる主な給付
給付の金額や割合は人によって異なり、見直されることもあります。
ここでは金額には触れず、詳しくは労基署や労災保険相談ダイヤルで確認できます。
主な給付と請求の窓口は、次のとおりです。
| 給付の種類 | どんなとき | 請求の窓口 |
|---|---|---|
| 療養(補償)給付 | 仕事中・通勤中のケガの治療を受けるとき | 指定医療機関を経由して労基署(指定医療機関以外で受診したときは労基署へ直接) |
| 休業(補償)給付 | 療養のために働けず、賃金を受けられないとき | 労基署 |
| 障害(補償)給付 | 症状が固定したあとに、一定の障害が残ったとき | 労基署 |
このほか、介護や、亡くなったときの遺族への給付などもあります。
給付名の「(補償)」は、仕事中のケガ(業務災害)の場合の呼び名で、通勤中のケガ(通勤災害)の場合は「補償」が付かない名称になります。
出典: 厚生労働省「労災保険給付の概要」(2026年10月時点)
ケガで通所を休むとき
ケガで通所を休むときは、通所できないときと同じように、早めに事業所へ伝えます。
連絡や再開の進め方は、通所できないときの相談先と対応で確認できます。
ケガで働けず賃金を受けられない日は、休業(補償)給付の対象になる場合があります。
有給休暇の付与条件や申請の流れは、A型の有給休暇の付与条件と申請の流れで確認できます。
なお、事業所の都合で仕事がなく休みになる日の賃金(休業手当)は、ケガによる休みとは別の制度です。
出典: e-Gov法令検索「労働基準法」第26条(2026年10月時点)
労災の手続きで迷ったときの相談先
事業所の証明が得られないとき
請求書の事業主の証明欄について、事業所から証明を受けられない場合でも、労災保険の請求はできます。
その場合は、最寄りの労働局または労基署に相談できます。
出典: 厚生労働省「労災保険給付の概要」、「労災保険に関するQ&A」1-4(2026年10月時点)
労災について相談できる窓口
労災の請求書の書き方や給付の内容など、一般的な制度についての問い合わせは、労災保険相談ダイヤル(0570-006031)で受け付けています。
受付は平日の日中です(祝祭日・年末年始を除く)。
請求の手続きは、事業所の所在地を管轄する労基署が窓口で、所在地は都道府県労働局・労働基準監督署の所在地一覧で確認できます。
職場の労働相談全般の窓口の使い分けは、労働基準監督署・総合労働相談コーナーなどの相談先で解説しています。
福祉サービスの利用についての不安は、お住まいの市区町村の窓口や、相談支援専門員(障害福祉サービスの利用を一緒に考える専門職)にも相談できます。
出典: 厚生労働省「労災保険給付の概要」の案内ページ、「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」、「障害のある人に対する相談支援について」、厚生労働省令「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」(2026年10月時点)
見学・体験中にケガをしたら
体験利用は雇用契約の前
当事業所の体験利用は、雇用契約を結ぶ前のお試しの期間で、給与は支払われません。
体験中の給料の考え方は、体験利用中の給料と費用で確認できます。
対象になるかは働き方の実態で判断
労災保険の対象になるのは、労働者です。
労働者にあたるかどうかは、契約の形式や名称ではなく、働き方の実態から個別に総合して判断される、と厚生労働省は示しています。
その判断では、指揮監督(仕事の指示や監督)のもとで働いているか、報酬が労働の対価として支払われているかなどが見られます。
また、雇用契約を結ばずに利用する方には、労災保険法の適用がないとする厚生労働省の通知もあります。
この通知は、体験や見学中の扱いを直接示したものではありません。
体験や見学は、雇用契約を結ぶ前の段階のため、ケガをしたときに労災保険の対象になるかどうかは、一概には言えません。
出典: 厚生労働省「労働基準法における『労働者』とは」、「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」(2026年10月時点)
体験や見学の前に確認できること
体験や見学の前に、事業所へ次の点を確認できます。
- ケガをしたときに誰に連絡するか
- ケガをしたときの対応の流れ
- 事業所が加入している保険
なお、雇用契約を結ばずに利用する方の災害に備えて、任意保険への加入を促すことが、厚生労働省の通知に書かれています。

出典: 厚生労働省「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」(2026年10月時点)
ほまれの家 長後店の労働保険
ほまれの家 長後店の雇用契約と保険、見学の案内は、次のとおりです。
- 雇用形態: 利用者の方との雇用契約
- 雇用保険・労働保険・有給休暇: 法定どおりに運用
- 見学: 無料(予約はLINEから)
ケガをしたときの対応や保険など、気になる点は、見学や体験の際にご質問いただけます。
作業の様子や1日の流れは、当事業所の1日の流れで紹介しています。
よくある質問
Q. 健康保険証で受診してしまったときは、どうすればいいですか?
A. 受診した医療機関に、健康保険から労災保険へ切り替えられるかを確認できます。
切り替えられないときは、いったん医療費の全額を自己負担したうえで、労災保険に請求します。
まず、加入している健康保険の保険者(協会けんぽなど)に、労働災害だったことを申し出ます。
次に、保険者から届く通知にしたがって、健康保険から給付された医療費を返納します。
そのうえで、労災保険の費用の請求書を、領収書を添えて労基署に提出します。
返納が難しいときは、返納が終わる前でも労災保険に請求できます。
Q. 労災保険の請求に期限はありますか?
A. はい、あります。
労災保険の給付には時効があり、給付の種類ごとに期間が決まっています。
数え始める日も給付によって異なり、期間を過ぎると請求できなくなります。
具体的な期間は、労基署か労災保険相談ダイヤルで確認できます。
Q. 労災かどうかは、事業所が決めるのですか?
A. いいえ、事業所が決めるわけではありません。
労働者本人が労基署に請求し、その請求にもとづいて、労基署長が支給するかどうかを決定します。
業務や通勤が原因と認められれば、給付が行われます。
Q. 見学や体験の前に、ケガをしたときの対応を質問できますか?
A. はい、できます。
ほまれの家 長後店では、見学や体験の際に、気になる点をご質問いただけます。
LINEからお気軽にご連絡ください。
出典: 厚生労働省「労災保険に関するQ&A」2-1、同7-5、同1-5、リーフレット「お仕事でのケガ等には、労災保険!」(2026年10月時点)
まとめ|労災保険の仕組みと相談先
- A型で雇用契約を結んで働く場合、仕事中のケガ(業務災害)も通勤中のケガ(通勤災害)も、労災保険の対象になります。個別の判断は労基署が行います
- ケガをしたら事業所に連絡し、指定医療機関で受診して請求書を提出します。治療に健康保険は使えません
- 迷ったときは、労基署や労災保険相談ダイヤルに相談できます
体験や見学の段階の扱いは、事前に事業所へ確認できます。
気になる点は、見学や体験のときに遠慮なくご質問ください。
見学・体験の進め方は、見学・体験の流れで紹介しています。
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執筆: ほまれの家 長後店 編集部(運営者情報・コンテンツ制作方針)

